皮膚科専門誌トピックス

皮膚科専門誌の中から一般皮膚科臨床に関連深い(特に治療と診断)と思われるものを紹介いたします。
専門誌に掲載されるには、雑誌の投稿規定しにたがい、その分野でのトップからなる審査委員会(主に教授、助教授、
国公立病院医長)の審査をパスしなければなりません。四誌より抜粋します。
          雑誌名              
日本皮膚科学会雑誌
西日本皮膚科
Journal of Dermatology
Journal of American Academy of Dermatology       
           発行(月刊)           
日本皮膚科学会
日本皮膚科学会西部支部
Japanese Dermatological Association
American Academy of Dermatology            

バナー表示は[記載日 雑誌名(発行月), 巻数 : ペ−ジ数, 発行年.]です。【 】以下は■松原勝利■の補足です。

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  2008年08月31日記載 日本皮膚科学会雑誌(19年5月号), 117: 979-983,2007.
    セファゾリンナトリウムのジェネリック医薬品に含まれる類縁物質が原因と考えられるアナフィラキシーショックの1例
    22歳,男性.既往歴に花粉症.整形外科での手術に際して,既往歴から口腔アレルギー症候群やラテックスフルーツ症候群の可能性を疑われラテックスを含有しない使用器具が準備されたが,全身麻酔導入し気管内挿管・抗生剤投与(執刀前)をした時点でショック状態となった.当院での皮内テストの結果,投与されたジェネリック医薬品で陽性反応を認め,その先発品では陰性であった.両者は共に添加物を含まない製剤であるため,自験例では有効成分以外の,製造過程で混入する可能性がある類縁物質を原因としてアナフィラキシー反応が生じたものと推測された.医療経済の効率化からジェネリック医薬品の使用頻度が急速に上昇している今日,安全性に対しても十分な配慮が必要であることの警鐘として報告する.
    【ジェネリック医薬品】有効成分が同じでも、薬剤の大部分を占める添加物や製造工程で混入する類縁物質、製造工程の違いから、先発品に比べて、このような副作用が高頻度で発生したり、有効率に差がでる場合があると言われています。しかし、ジェネリックの副作用については、先発品に準ずるとしか公表されていません。後発品メーカーの中では、情報不足や信頼度の低さ、薬剤ロット間のばらつき、医薬品そのものの安全性に対する信頼性が欠如しているメーカーも指摘されています。爪白癬治療薬であるイトリゾールにおいては、低pH水溶液でのみ溶解される性質があり、高度な製造技術が必要とされますが、製造特許はまだ切れていないため、後発品メーカーは独自の方法で製造し、その結果、先発医薬品とジェネリックの血中薬物動態には、ばらつきが認められております。このことは有効性にも差がでるということを示唆しています。ジェネリックに関しては、副作用の頻度、有効性等の情報を実際に治験を実施して、広く情報公開するべきと思います。
    論文の別刷請求先 : 京都大学大学院医学研究科皮膚科学 谷崎 英昭先生

  2008年06月08日記載 日本皮膚科学会雑誌(19年5月号), 117: 963-968,2007.
    疥癬に対するイベルメクチンの食後投与における安全性と有効性の検討
    疥癬に対するイベルメクチンを40名に投与し,空腹時投与群と食後投与群につき,その安全性と有効性を検討.再発による再投与を含めた延べ投与症例数は48例.本剤の使用に当たり,疥癬診療ガイドラインに準拠した上,薬剤の性状と疥癬の寄生部位等を勘案し,25%安息香酸ベンジルローションの全身への外用療法併用,痒疹様結節への凍結療法の併用などを試みた.結果,食後投与群において有効率の向上,再発率の低下を見た.安全性については,臨床検査値異常を3例で認めたほかは,特に副作用は認めなかった.
    【イベルメクチン】2002年腸管糞線虫症に適応が認められ、2006年疥癬にも適応が認められた薬剤です。空腹時投与が推奨されていますが、糞線虫症の場合は、空腹時投与が腸管濃度を高めるため、有効と考えられますが、角質に存在する疥癬に対しては、食後投与の有用性と安全性がこの論文で示唆されると思います。
    論文の別刷請求先 : 〒917-8567 福井県小浜市大手町2-2 公立小浜病院皮膚科 笹田 昌宏先生

  2008年05月22日記載 日本皮膚科学会雑誌(19年2月号), 117: 149─152,2007.
    各種外用抗真菌薬のin vitro抗真菌活性の測定
    わが国で医療用として使用されている外用抗真菌薬11剤について,表在性真菌症の起因菌である皮膚糸状菌(Trichophyton rubrumおよびTrichophyton mentagrophytes)ならびにCandida albicansに対するin vitro抗真菌活性を標準化微量液体希釈法で測定し,薬剤の特性を比較検討.その結果,各菌種に対する抗真菌活性は薬剤の構造分類により差がみられ,テルビナフィン,ブテナフィンおよびリラナフタートの活性は,皮膚糸状菌に対して強く,C. albicansでは弱かった.一方,アモロルフィンやアゾール系薬剤のケトコナゾール,クロトリマゾール,ミコナゾール,ネチコナゾール,ビホナゾール,ルリコナゾールおよびラノコナゾールはC. albicansに対してより強い活性を示した.ルリコナゾールおよびラノコナゾールでは,皮膚糸状菌に対しても極めて強い活性がみられ,最も活性の強いルリコナゾールでは,白癬の主要病原菌であるT. rubrumに対するMIC範囲が≦0.00012〜0.00024 μg/ml.
    【in vitro】人体(生体)での検査ではなく、試験管内での検査という意味です。生体を対象としての調査はin vivo と呼ばれます。
    【MIC】最小増殖抑制濃度 細菌や真菌などの、増殖を抑制するのに必要な、最小の薬剤濃度。数値が小さいほど、有効性が高いと考えられます。抗真菌剤の臨床での有効性は、皮膚の角層での薬剤貯留性などの動態にも関係するため、今回のin vitro(試験管内)での活性の強さのみでは比較はできませんが、重要な参考データです。
    論文の別刷請求先 : 〒586-0094 大阪府河内長野市小山田町345 日本農薬株式会社総合研究所 古賀 裕康先生

  2008年02月14日記載 西日本皮膚科(19年4月号) 69: 182-185, 2007
    壮年性脱毛患者に対するケトコナゾールローション外用の効果に関する検討
    脂漏性皮膚・脂漏性皮膚炎を併発する壮年性脱毛患者17例を対象として,ケトコナゾール外用の増毛効果とその作用について検討。調査項目は,脱毛の改善度,脂漏性皮膚・脂漏性皮膚炎の改善度の変化。患者の自覚する易脱毛性は,ケトコナゾール外用後で有意に改善がみられ,脱毛の総合評価では,やや改善以上が74.6%。脂漏性皮膚・脂漏性皮膚炎で,外用後に有意に改善。
    【ケトコナゾールローション】通常は、脂漏性皮膚炎や表在性真菌感染症に使用される薬剤です。今回の研究では、マラセチア属などの真菌数の変化は、改善度との相関が無いことから、発毛効果は、アンドロジェンレセプター発現抑制、または皮脂排出量/炎症抑制による発毛促進によると考えられています。ケトコナゾールは、内服することにより、女性化乳房やインポテンツなどの男性ホルモン抑制作用の副作用があることが知られています。
    論文の別刷請求先 : 〒228-8555 北里大学医学部皮膚科学教室 前島 英樹先生

  2008年01月18日記載 西日本皮膚科(18年12月号), 68 :648-651,2006
    ラグビー選手にみられたTrichophyton tonsurans感染症の1例―某高校ラグビー部の集団検診も含めて―
    17歳,男子(発端者,ラグビー部)。左上腕内側に1.7×1.0cmの,鱗屑を伴う辺縁隆起性環状紅斑を認め,培養にてTrichophyton tonsurans(T. tonsurans)を分離。発端者の所属するラグビー部(発端者を除く39名)の検診を行なった。頭部白癬はみられず,体部白癬2名(顔面,左頚部),頭皮のhairbrush(HB)法陽性者1名であった。体部白癬のうち1人は中学生時柔道部に所属し高校入学時ラグビー部にスカウトされた。その患者のHB法では全スパイクからT. tonsuransのコロニーが検出され,彼が感染源となり,他の部員に感染したと考えられた。
    【T. tonsurans】毛への親和性が強く、柔道、レスリング部員に多く見られる真菌です。主に頭髪を感染源として、身体を密着することにより流行すると考えられています。
    論文の別刷請求先 : 〒843-0023 武雄市 篠田皮ふ科医院 篠田英和先生

  2007年09月02日記載 西日本皮膚科(18年10月号), 68 : 500-503,2006.
    趾腹部の紫斑より診断に至った感染性心内膜炎の1例
    29歳,女性。2003年10月下旬より発熱,頭痛が出現。同年11月下旬より四肢末梢に出没を繰り返す有痛性の紫斑が同部位の腫脹を伴って出現。山口県立中央病院(現山口県立総合医療センター)内科で不明熱および貧血の精査中であったが,皮疹について12月上旬,同院皮膚科紹介。血液検査所見では,好中球増多を含む炎症所見を認めた。初診時,左I・II趾腹側,左拇趾球に有痛性の紫斑を認め,塞栓症あるいは血管炎を考え生検。病理組織学的に真皮浅層から脂肪織にかけて核塵を伴う好中球主体の炎症細胞浸潤と比較的大きな血管に塞栓像を認めた。その3週間後,心エコー検査にて僧房弁に疣贅形成を認め,血液培養にてStreptococcus mitis(Streptococcus viridans属)が検出されたことより,感染性心内膜炎の診断に至った。自験例のように,皮膚症状の出現は,感染性心内膜炎の診断に極めて有用であり,皮膚科医は本疾患に伴う様々な皮疹を熟知しておく必要がある。
    【感染性心内膜炎(IE)】原因は一過性の菌血症といわれ、抜歯などの歯科処置、長期のカテーテル留置や静脈注射常用などで発症します。病原性微生物が、心臓の弁膜などの心内膜に付着して、疣贅状となり、一部が離脱し血管内塞栓を起こして多臓器不全をきたすことがある重篤な感染症です。
    論文の別刷請求先 : 山口大学医学部分子感知医科学講座皮膚科 内平 美穂 先生

  2007年07月19日記載 日本皮膚科学会雑誌(19年1月号), 117: 53-56,2007.
    Permanent Cosmetic Filler注入により生じた異物肉芽腫の1例
    症例は63歳女性。約1カ月前から生じた両側鼻唇溝から口周囲にかけて左右対称性に分布する硬結を主訴に受診.発症の約10カ月前に同部位にcosmetic filler(Dermalive)を注入していたことが判明.病理組織学的には,真皮から皮下組織にかけての肉芽腫性病変であり,無数の透光性もしくはややエオジン好性の多角形の異物が目立ち,それを取り囲むように組織球,多核巨細胞が肉芽腫を形成.異物の粒子の形状からある程度使用したfillerの種類の推定が可能であり,この所見はDermaliveィによるfiller granulomaに特徴的.
    【cosmetic filler】手術やケミカルピーリングで治療困難な鼻唇構、額、眉間、口唇周囲の線上の皺(しわ)に使用されます。fillerには、分解吸収されるもの、分解され膠原線維に置換されるもの、分解されないものの三つに分類されます。今回の報告は、分解されないfillerを使用した症例でした。
    【Dermalive】60%がヒアルロン酸,40%が非吸収性のアクリルハイドロゲル(注入部に長期間とどまるとされています)から成るcosmetic fillerです。
    論文の別刷請求先 : 〒700-8558 岡山県岡山市鹿田町二丁目5番1号 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科皮膚・粘膜・結合織学 青地 聖子先生

  2007年06月03日記載 西日本皮膚科(18年6月号), 68 : 274-279,2006.
    色素法,RI法併用によるSentinel Node Navigation Surgeryを施行した悪性黒色腫62例の検討
    皮膚悪性黒色腫の治療にsentinel node biopsy(SNB)という概念が導入されて以来,その有用性について欧米で多くの報告がみられるようになった。わが国においては1997年頃より皮膚悪性黒色腫に対して,色素法によるSNBが多施設で行われ検討されるようになり,当院においても当初は色素法単独で,主に鼠径リンパ節を所属リンパ節とする症例を対象にSNBを始めた。2002年4月からは色素法に術前リンパシンチグラフィおよび術中ガンマプローブ法を併用し,sentinel nodeの同定率は95%という高い結果を得た。所属リンパ節別でみると鼠径リンパ節では97%,腋窩リンパ節では96%,頚部リンパ節では89%の同定率であり,色素法単独と比較して明らかに同定率の向上がみられた。正確なsentinel nodeの同定のためには,RI法の併用は不可欠と考えられ,今後多施設での色素法,RI法併用によるsentinel node navigation surgeryの確立が望まれる。
    【sentinel node biopsy(SNB)】癌のリンパ流を最初に受けるリンパ節を同定して、そこに転移があるかどうかを調べる検査です。癌原発巣切除とともに、リンパ節郭清を行うか否かの判断基準となります。
    論文の別刷請求先 : 国立がんセンター中央病院皮膚科 高橋 聡先生

  2007年05月15日記載 西日本皮膚科(18年4月号), 68 : 175-178,2006
    MRSA伝染性膿痂疹の薬剤感受性及び治療的検討
    MRSA伝染性膿痂疹の治療指針を作製するため,2003年7月〜2004年2月に当科を受診した生後9ヵ月〜11歳の伝染性膿痂疹25例について滲出液の細菌培養及び感受性検査を行い,CFDN 10mg/kg/日及びMINO 3mg/kg/日の内服の有効性を比較検討。25例中12例よりMRSA単独,12例よりMSSA,1例よりMRSAとβ連鎖球菌が検出された。CEZ,CTM,CFDN,FMOX,IPMの感受性率はMRSAで0%であったがMSSAでは91.6〜100%。MRSA及びMSSAともMINO,VCM,STでは感受性率は100%であったが,PCG,ABPC,GMでは20%以下だった。MRSA膿痂疹に対してCFDNは4例中2例に有効で,無効2例はMINOの内服で略治。また,8例にMINOを投与したところ7例で効果が認められた。一方,MSSA膿痂疹ではCFDNは6例中5例,MINOは6例中5例に有効。MINOを内服した16症例中2例に悪心及び下痢がみられた。伝染性膿痂疹に対してはMSSA感染を想定してCFDNの内服を第1選択とし,症状の改善がみられない場合は,MRSA膿痂疹の可能性を考慮しMINOの内服が第2選択と考えられた。
    【MRSA】メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は、難治性の伝染性膿痂疹(とびひ)の起炎菌の一つです。
    論文の別刷請求先 : 独立行政法人国立病院機構長崎医療センター皮膚科 宿輪 哲生先生

  2007年04月13日記載 西日本皮膚科(18年4月号), 66 : 185-194,2006.
    ハイドロキノンの安全性試験について
    「化粧品の安全性評価に関する指針2001」に準拠して,単回経口投与毒性試験,皮膚一次刺激性試験,連続皮膚刺激性試験,皮膚感作性試験,光毒性試験,光皮膚感作性試験,眼刺激性試験,復帰突然変異試験,ヒトパッチテストからなる9項目の安全性試験を行った。 結果,ハイドロキノンは皮膚感作性ポテンシャルを有しており,強くはないが皮膚一次刺激性を持った成分と考えられた。
    【ハイドロキノン】今回の試験は2%濃度で行われております。(水溶液、またはワセリン製剤)。ハイドロキノンは、酸化されやすく不安定な物質で、基礎的に安全性が確立されたとは言い難い美白剤といえます。臨床的には、5%程度で使用します。
    論文の別刷請求先 : 〒120-0034 東京都足立区千住3-98 千住ミルディス2-305 ミルディス皮フ科 村上 義之先生


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