ステロイド外用剤(グルココルチコステロイド、副腎皮質ホルモン製剤)は、30年以上も前からある外用剤で、現在皮膚科をはじめとして各科で最もよく使用される外用剤の一つです。強力な抗アレルギー作用があり、アレルギー性の皮膚炎をはじめ、さまざまな皮膚疾患に使用されます。マスコミ等でいろいろ医学的に根拠のない報道が無秩序になされていますが、決してステロイド外用剤は怖い薬ではありません。むしろ非常に有用な薬といえるでしょう。有用な薬というものは皆そうですが、使い方を間違えると、有害な薬となってしまいます。ステロイド外用剤は、皮膚の症状、部位、年齢等によって使い分けをします。また、状態の変化にともない、変更しながら経過を診ることも多くあります。自己判断せず、皮膚科専門医の指導のもとで使用すれば、非常に有用な外用剤と考えます。
                 1997年 文責 まつばら皮膚科 松原勝利

ステロイド外用剤の主な副作用(必ず生じるというわけではありません)
細胞の増殖ないし線維新生抑制作用にもとずくもの。
皮膚委縮 皮膚に線状にすじがはいったようになります。皮下の静脈が透けて見えたりします。かなり長期にステロイド外用剤使用した場合に希に生じます。わきの下、ふともも、側腹部などによく見られます。小児、老人に多く生じます。
ステロイド紫斑 皮膚が全体的に薄くなってしまい、いわゆるくろあざ(皮下出血)ができてしまいます。(できやすくなります。)老人の四肢に多く生じます。
ステロイド潮紅 酒さ様皮膚炎ともいいます。主に顔に生じます。顔全体が赤くなり、赤いぽつぽつができることもあります。ステロイドを中止すると一時的に悪化しますが、しだいに元に戻ります。しかしこの一時的悪化は、本人また経過観察する医師にとっても少々辛いものとなります。
成人女性、小児に多く生じます。長期にわたり、不適切に使用された場合に生じます。
毛細血管拡張 肉眼的に毛細血管が見えるようになります。小児の顔や頚部に多く生じます。
色素異常 部分的に色素が抜け落ちて白くなることがあります。小児に多く生じます。
ホルモン作用によるもの。
ステロイドざそう にきびができやすくなります。思春期の方の顔面に生じることが多いです。
多毛 外用部に毛が周囲に比べてやや多くはえてきます。小児に多く生じます。
免疫,アレルギー抑制作用のよるもの。
感染症の誘発及び悪化 ステロイド外用剤は、外用部位の免疫力を低下させるので、ばい菌がついたところとか、擦り傷切り傷のところには、原則として使用しません。
真菌寄生性疾患の誘発及び悪化 白癬に使用するとかえって悪化します。アレルギー反応を伴う白癬には一時的に使用する場合があります。
その他。
口囲皮膚炎 口の周りに赤いぽつぽつができます。中年女性に多く生じます。
長期にわたり、不適切に使用された場合に生じます。
経皮吸収による
全身的副作用
( 副腎皮質機能低下 等 )
通常の使用量(1日30g以下)ではおこりません。ステロイド外用剤は、副腎皮質ホルモン剤ですので外からこれを大量に長期にわたり与え続けると、副腎皮質のほうがもう合成しなくてもいいと勘違いしてしまい、機能が低下してしまいます。また、作れ!と命令する器官(脳下垂体)も同じように勘違いしてしまうこともあります。【脳下垂体から副腎皮質に副腎皮質ホルモンの製造を促す物質(副腎皮質刺激ホルモン)が血液を介して伝達され、生体内では一定量の副腎皮質ホルモンが副腎で製造されています。】
ステロイド緑内障 眼圧が上がります。眼囲にstrongクラス以上の外用を長期にわたり不適切に使用した場合に、希に生じます。
ステロイド白内障 眼の水晶体がくもります。眼囲にstrongクラス以上の外用を長期にわたり不適切に使用した場合に、希に生じます。 最近の研究(2004年)で、アトピー皮膚炎に希に見られる白内障は、ステロイド外用薬の副作用というよりは、掻破による眼への慢性的な刺激が主な原因と考えられています。
 ; 非ステロイド外用剤には上記の副作用はありませんが、かぶれやすいというデメリットがあります。

参考文献   幸田 弘、他:西日本皮膚、40:177、1978

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